いえものがたり (5)「活字を⾒つけた家」
「活字」という⾔葉は聞いたことがあるかと思いますが、実際のところ、どんなものなのかは分からない⽅が多いと思います。
オフセット印刷が普及する前は「活字」と⾔われる鉛でできた⽂字や図形を「紙型(しけい)」と呼ばれる型に組み、それを鉛板にして印刷する「活版印刷」が主流でした。
つまり鉛板にインクを付けて紙に押しつけるのです。
版画のようなものだと思えば分かりやすいかと思います。
(そのため活字の⽂字は左右反転になっています)
昔は本も新聞も雑誌もチラシも、みんな「活版印刷」でした。
リノベをするために、ある家に調査に⾏った際のことです。
⼩さなコップくらいのガラスの器の中に、その「活字」が⼊っていたのです。
その家は印刷会社だった訳ではないので、それほど多く残されていた訳ではないのですが…。
「活字」そのものの⼤きさは5ミリ四⽅くらいだったので、新聞記事の本⽂ほどの⽂字の⼤きさになると思います。
さてここからヤモタスの推理が始まります。(笑)
この家の主⼈はどんな仕事をしていたのだろうか?
⾒つけた「活字」はどんな印刷物に使われていたものなのか?
⽂字の⼤きさから推し量るに、多分、新聞の印刷に使われたのなのではないか?
そうだ!きっと新聞社か、新聞社に関係のある仕事をしていた⼈に違いない!
もう勝⼿に決めつけてしまいましたが、実はこのお宅には⾻董品もたくさん残されていました。
その極めつけがなんと!昔の「電話ボックス」。
⽊造?で、畳半畳くらいのスペースに⾼さ180センチくらいの箱型の部屋?です。
戦前のもののような気がしますが、クラシカルで⽴派な扉が付いていました。
形あるものはいつか無くなってしまいます。
けれども思い出は記憶の中で⽣き続けます。
そんな素敵な思い出の多くは「家」でつくられます。
家って、いいな。
⽣き続ける家を。
ヤモタス