いえものがたり (3)「ウインドエアコンがあった家」
今や珍しくもなんともない「エアコン」ですが、1960年代には、まだほとんど普及していませんでした。
ごく平均的な家族にとっては⾼嶺の花といった存在だったわけです。
これは⾃動⾞も同じでマイカーブームがやってくるのは60年代後半ですから、60年代の初めにはエアコンもマイカーも普通の家族にとっては、かなりの贅沢品だったということです。
エアコンが徐々に普及してくるのは60年代中頃からです。
また今と違い、窓に取り付けるタイプのものが主流でした。
開⼝部(窓)の三分の⼀くらいを使い、枠を設け、そこに四⾓い箱形のエアコンを付けるのです。
さてタイトルでは「ウインドエアコン」と書きましたが、正確には「ウインド型クーラー」だと思います。
冷やすことはできますが、暖めることはできない機械だったんですね。
ある空き家に、そんな「ウインド型クーラー」が残されていました。
窓の上部にちょこんと乗っかっていて、その下の窓部分は⽊の板がはめられていました。
そしていつものようにヤモタスは想像します。(笑)
このクーラーが取り付けられた時は、どんな状況だったのかな?と。
取り付け⼯事はお昼の時間帯だったでしょうから、平⽇ならお⽗さんは仕事で居ないはずですよね。
そうなるとお⽗さんが帰ってくるまでスイッチは⼊れないで帰宅を待っていたのかな?とか。
家族みんなで「涼しいね〜」なんて⾔い合っていたのかな、とか。
家族の⽇常を⾒守り続け、くつろぎをもたらしてくれる⼤切な場所。
それが「家」です。
家って、いいな。
⽣き続ける家を。
ヤモタス