2026.09.17
調査
三重県で空き家賃貸の収支は?シミュレーション比較表で黒字か徹底診断
三重県の実家を貸して本当に黒字になるのか、家賃だけでなく税金や修繕・空室まで含めた収支を確かめたい
三重県の実家を貸すなら、家賃収入だけで黒字を判断してはいけません。手元に残るのは、家賃から税金・保険・管理費・修繕・空室分を引いた後の金額です。ここを見落とすと「毎月◯万円入る」計画が年間では赤字、という事態が起きます。収支は必ず「収入マイナス支出」で組む。これが黒字判定の出発点です。
とはいえ、いざ電卓を叩こうとすると手が止まる。「修繕っていくら見ておけばいいの」「空室って何カ月で計算するの」。家賃相場は見つかっても、裏側の支出は誰も教えてくれません。固定資産税の通知書を前に、ため息が出た——そんな方へ、収支シミュレーション表の作り方と、黒字か赤字かの見分け方を具体的な数字で整理します。
【この記事のポイント】
- 三重県で実家を賃貸化したときの収支を、収入と5つの支出に分けて組み立てる方法
- 想定家賃・税金・保険・管理・修繕・空室を入れた収支シミュレーション比較表の読み方
- 黒字・赤字・トントンをどこで線引きするか、判断の基準
今日のおさらい3つ
- 収支は「家賃収入 −(固定資産税・保険・管理・修繕・空室)」で見る。家賃だけでは判断しない
- 修繕と空室は「毎月かからないが必ず来る費用」。年額で積み月割りにするのが現実的
- 数字は幅で持つ。断定値でなく悲観・標準・楽観の3ケースで比べると判断を誤りにくい
この記事の結論
- 収支は「家賃収入 −(固定資産税・都市計画税+火災保険+管理費+修繕積立+空室損)」で見る
- 黒字ラインは「年間家賃 × 稼働率」が「年間支出合計」を上回るか。ギリギリなら空室1〜2カ月で赤字に転ぶ
- 三重県は空き家率16.4%と全国平均13.8%より高め(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)。地域差が大きく、家賃も空室期間も「県の平均」では測れない
- 数値は悲観・標準・楽観の3ケースで並べ、一番厳しいケースでも耐えられるかを先に確認する
- 借り上げ型など修繕・保険を事業者が負担する方式なら、支出項目が減り収支は読みやすくなる
収支シミュレーションの作り方:家賃から引く5つの支出
正直なところ、「家賃10万円で貸せる」と聞くと、年120万円がまるごと残るように感じます。でも実際に残るのはその一部。ここでは収支表に必ず入れる5つの支出を順に見ていきます。実家の書類を横に置き、自分の数字に置き換えながら読んでみてください。
固定資産税・都市計画税と火災保険
まず動かせない支出が、固定資産税と都市計画税です。家を貸しても貸さなくてもかかる保有コスト。三重県内の戸建なら立地や評価額で幅はありますが、年間で数万円〜十数万円というレンジが多い印象です。手元の課税明細書に金額が載っているので転記します。
なお、国土交通省の空家法では、管理不全空家等・特定空家等に指定され勧告を受けると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が上がり得るとされています。賃貸で人が住む家はこの「税が上がるリスク」を避けやすく、放置のほうが将来の負担が重くなるケースもあります。
次に火災保険。貸家として運用するなら建物の火災保険は欠かせません。木造戸建で年間数万円程度が一般的なレンジです。ケースによりますが、借り上げ型のサービスでは火災保険を事業者が負担する契約もあり、その場合はこの行を表から外せます。誰が何を負担するかで表の形が変わります。
管理費と、見落としやすい空室損
3つ目が管理費です。入居者の募集、契約手続き、家賃の集金、設備トラブルの一次対応。自分でやれば費用はゼロに近づきますが、遠方に住む所有者には現実的ではありません。管理会社に委託する場合、一般的には家賃の5%前後が相場です。家賃10万円なら月5,000円、年6万円。地味ですが年単位で効いてきます。
そして、いちばん見落とされるのが空室損です。「貸せば毎月家賃が入る」という前提は、実は満室が続いたときの話。募集から入居まで数カ月かかることもあります。よくあるのが、この空室を「ゼロ」で計算するミス。年間の家賃収入は「月額家賃 × 12 × 稼働率」で見るのが現実的です。稼働率90%なら年120万円の家賃でも実収入は約108万円。1カ月空くだけで収支は思ったより細くなります。
実は、この空室損の置き方が収支表の精度を決めます。三重県は北勢地域(いなべ市〜四日市市〜鈴鹿市)のように工場が集まり通勤需要がある地域と、中南部・伊勢志摩地域とで需要構造が異なります。県資料でも「三重県だから貸せない」と一律には判断できないとされる通り、空室期間は物件の生活圏で大きく変わります。
修繕・原状回復と、3ケースで持つという発想
最後が修繕費です。毎月は出ないのに、必ずいつか来る費用。給湯器の交換、水回りの不具合、退去時の原状回復、屋根や外壁の補修。築古の戸建ほど複数の設備が同じ時期に寿命を迎えやすく、「今は問題ないから修繕ゼロ」で組むと数年後に一気に赤字を掘ります。
現場でよく言うのが「修繕は月々の積立で持ってください」という考え方です。担当者いわく「年間で家賃の1〜2カ月分を修繕枠に積んでおくと、急な出費に驚かなくて済みます」。年家賃120万円なら10万〜20万円を支出側に立てておく。この一手間で収支表の信頼度がまるで違います。
そして忘れてはいけないのが、数字を1本の断定値で置かないこと。家賃も空室も修繕も、実際には幅があります。だからこそ「悲観・標準・楽観」の3ケースで並べる。一番厳しい悲観ケースでも収支がマイナスに沈まないなら、その計画は堅い。逆に楽観ケースでしか黒字にならないなら「賭け」に近い。この3ケース発想が、期待外れを避ける最大の防御です。
収支シミュレーション比較表:黒字・トントン・赤字を見分ける
ここからは表で見ていきます。あくまで一般的なレンジで置いた仮の数字であり、あなたの実家の金額に置き換えて使うことが前提です。それでも「どの項目がどう効くか」を掴むには表がいちばん早い。
三重県の戸建を想定した収支シミュレーション比較表
想定:木造戸建・想定家賃 月8万円(年96万円)を基準に、3ケースで比較します。
| 項目 | 悲観ケース | 標準ケース | 楽観ケース |
|---|---|---|---|
| 想定月額家賃 | 7万円 | 8万円 | 9万円 |
| 稼働率(空室考慮) | 80% | 90% | 100% |
| 年間家賃収入(実収入) | 約67万円 | 約86万円 | 約108万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 12万円 | 10万円 | 8万円 |
| 火災保険(年) | 4万円 | 3万円 | 3万円 |
| 管理費(家賃の5%) | 約4万円 | 約5万円 | 約5万円 |
| 修繕積立(年) | 20万円 | 15万円 | 10万円 |
| 年間支出合計 | 約40万円 | 約33万円 | 約26万円 |
| 年間収支(収入−支出) | 約+27万円 | 約+53万円 | 約+82万円 |
注目してほしいのは支出の内訳です。悲観ケースでは実収入が67万円まで落ち、そこから40万円が引かれ、手元に残るのは27万円。楽観ケースの82万円とは年間55万円もの差。同じ家なのに、空室と修繕の置き方だけでこれだけ振れる。ここが収支シミュレーションの怖さです。
黒字ラインはどこか、赤字に転ぶのはどの瞬間か
黒字判定の基準はシンプルで、「年間の実家賃収入 > 年間支出合計」なら黒字、下回れば赤字です。上の表はどのケースもプラスですが、これは家賃が確保できている前提の話。想定家賃が相場より高すぎて空室が長引けば、稼働率は60%台まで落ちることもあります。稼働率60%だと悲観ケースの年間家賃収入は約50万円。支出40万円を引くと残り10万円。ここに給湯器交換が一発入れば簡単にトントン、あるいは赤字です。
つまり、収支ギリギリの計画は「空室1〜2カ月」や「予定外の修繕1件」で赤字に転ぶ。逆に標準ケースで年50万円前後の黒字が出る計画なら、多少の空室や修繕を吸収する体力がある。「どのくらいの余裕を持って黒字か」で判断する。これが期待外れを避けるコツです。
三重県という地域を、数字にどう反映するか
三重県で収支を組むうえで無視できないのが地域特性です。三重県の空き家率は16.4%で全国平均13.8%を上回っています(総務省 令和5年住宅・土地統計調査、集計・公表:三重県、2023年10月1日現在。空き家数は約14.32万戸)。「空き家が多い=競合が多い」ことを示唆しますが、だからといって全域で貸せないわけではありません。
三重県は自動車利用が前提の地域が多く、戸建賃貸では駐車場の台数、国道23号・1号・名阪国道など主要道路へのアクセス、周辺の工場・商業施設、学校・病院までの距離が入居の決め手になります。通勤需要が続くエリアなら家賃も稼働率も高めに、需要が薄いエリアなら悲観寄りに置く。「県の平均値」をそのまま当てはめない——これが三重県で収支表を作る鉄則です。同じ県内でも家賃も空室期間もまったく別物になります。
よくある質問
Q1. 家賃収入がそのまま利益になると思っていました。何割が手元に残りますか。
A. 物件によりますが、税金・保険・管理・修繕・空室を引くと、実収入の6〜8割程度が残るイメージです。上の標準ケースでは実収入86万円に対し収支53万円で約6割強。空室と修繕の置き方で大きく変わります。
Q2. 修繕費はいくら見ておけば安全ですか。
A. 断定はできませんが、目安として年間家賃の1〜2カ月分を修繕枠として積む考え方があります。年家賃96万円なら8万〜16万円程度。築古で設備が古い家ほど多めに見ておくと、急な給湯器交換で慌てずに済みます。
Q3. 空室期間は何カ月で計算すべきですか。
A. 稼働率で持つのが実用的です。90%稼働なら家賃の約1.2カ月分、80%なら約2.4カ月分が空室損。三重県は地域差が大きいので、実家のエリアの需要に合わせて幅を持たせてください。
Q4. 空き家のまま放置するのと、貸すのはどちらが有利ですか。
A. 放置しても固定資産税はかかり、管理不全と判断されると税の軽減が外れて負担が増え得ます(国土交通省・空家法)。加えて修繕先送りで劣化が進む。貸せば家賃で費用の一部をまかなえる分、収支上は有利になりやすいですが、貸せる立地かどうかが前提です。
Q5. 収支がトントンなら、貸す意味はないですか。
A. 金額だけ見ればそうかもしれません。ただトントンでも「税負担の増加リスクを避けられる」「人が住むことで劣化が緩む」「将来の売却や自己利用の選択肢を残せる」効果があります。金銭収支と維持効果の両面で判断するのがおすすめです。
Q6. 想定家賃はどうやって調べればいいですか。
A. 掲載家賃だけでなく、成約賃料・空室期間・競合物件の質まで見るのが理想です。掲載家賃は「まだ決まっていない」金額のことも多く、実際に貸せる水準とはズレます。地域の実態に詳しい事業者に確認すると精度が上がります。
Q7. 修繕や保険を自分で負担しない方法はありますか。
A. あります。借り上げ型のサービスでは、リフォーム・火災保険・運用中の修繕を事業者が負担する契約もあります。その場合、所有者負担は主に固定資産税・都市計画税に絞られ、収支は読みやすくなります。
まとめ
- 三重県の実家賃貸の収支は「家賃収入 −(固定資産税・都市計画税+火災保険+管理費+修繕積立+空室損)」で判定する。家賃だけで黒字を語らない
- 修繕と空室は「毎月出ないが必ず来る費用」。年額で積み月割りで表に入れる
- 数字は悲観・標準・楽観の3ケースで並べ、一番厳しいケースでも耐えられるかを先に確認する
- 黒字ラインは「年間実家賃 > 年間支出合計」。ギリギリの計画は空室1〜2カ月や修繕1件で赤字に
- 三重県は空き家率16.4%(全国13.8%より高め)で地域差が大きい。家賃も空室も「県の平均」でなく実家のエリアで見る
最初は半信半疑でも、いちど自分の実家の数字で収支表を作ると、「これなら貸せる」「この家賃だと厳しい」の輪郭が見えてきます。とはいえ、想定家賃も修繕の見込みも一人で正確に置くのは難しいのも事実。この状態ならまだ間に合う、と思えるうちに、実家の立地と建物を一度プロの目で見てもらうのが近道です。迷っているなら、ヤモタスの無料相談・現地調査で、あなたの実家の収支が黒字になりそうか一緒に確かめてみてください。数字が見えれば、決断はぐっと楽になります。
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